オステオパシーとは
はじめに
「オステオパシー」という言葉を聞いたことがある人はかなり少ないのはないでしょうか?日本ではまだあまり知られていませんが
オステオパシーはカイロプラクティックと同様に
アメリカでは医学として認められている手法です。
オステオパシーはギリシャ語でオステオ(骨)とパソス(病気・治療)を語源とする言葉です。
手を使って行う(手技)療法として知られていますが、
その考え方やアプローチは医療哲学と言えるものです。
医療哲学というと非常に難しい印象がありますが、
その考え方は東洋医学的で日本人にもなじみやすいものです。
では、オステオパシーの世界を少しだけのぞいてみましょう。
オステオパシーの歴史
オステオパシーは1874年にアメリカの医師A.T.スティル博士によって発表された手技療法です。スティル博士は南北戦争に従事した内・外科医でしたが、
自身の3人の娘を流行性脳脊髄膜炎で次々となくすという体験から、
この時代に用いたヒ素・水銀などの薬剤治療の効果に疑問をもちました。
10年間の研究から、「人間の身体には自然な回復力が備わっていて、
血液循環や神経支配機能が妨げられると、それがうまく働かなくなって不調となる。」
という基本的な考えをまとめました。
当初こそ医学界から受け入れられませんでしたが、
その効果は多くの一般市民から支持されました。
1910年には医学として公認され、
スティル博士が89歳でなくなる頃には全州で公認されるようになりました。
現在では全米に多くのオステオパシー医科大学が設立され、
手技療法の専門医が養成されています。
日本には明治から大正にかけて伝わったとされていますが、
「整体術」として伝わってしまったため、
正確な名称や理論、技術が伝わりませんでした。
日本に再びオステオパシーの技術が伝わり始めたのはここ15年くらい前からで、
現在では海外からたくさんの情報と最新の技術が導入されています。
オステオパシーのアプローチ
スティル博士は、身体の構造に異常が発生すると体循環に悪影響を及ぼすと考えました。特に背骨に問題があると、正常な神経伝達や内分泌、
体液(血液、リンパ液、脳脊髄液)の循環が阻害されます。
しかし、オステオパシーの治療は単に背骨だけではなく、
身体のあらゆる部分を対象として行います。
身体を部分ではなく全体として捉えるオステオパシーの
基本哲学を要約すると以下のようになります。
【オステオパシーの基本哲学】
・人間の身体は1つのユニットである (身体の一部分を切り離して扱うことはできない)
・人体の構造と機能はお互い相互に関係する
・すべての人間は自然治癒力を持っている
・環境の変化や身体への外力が自然治癒力より勝る場合は病気になってしまう
・体液や神経の正常な働きが健康の維持に不可欠である
・精神や魂を含めた身体の全ての部分が外界と調和が取れている状態が本当の健康である
これらの哲学から、オステオパシーは身体に対して次のようなアプローチを行っています。
【オステオパシーのアプローチ】
・全ての筋肉・骨格の調整
・内臓や内臓を支える組織(靭帯・間膜など)の調整
・頭蓋骨の調整と脳脊髄液の循環の改善
・リンパ液の流れの改善
・筋肉や関節に多数存在する固有受容器に対するアプローチ
このアプローチはカイロプラクティックと非常に似ていますが、
オステオパシーは背骨や関節だけでなく、
内臓や体液の調整にも直接アプローチしていくのが大きな違いです。
(カイロプラクティックは間接的にアプローチしていきます)
オステオパシーの施術
ここでは、オステオパシーで用いられる技術をいくつか説明していきましょう。ダイレクト・トリートメント(直接法)
背骨や関節などにズレがある場合、そのズレを直接的に働きかけて正常な位置に戻す方法です。
カイロプラクティックで用いられる方法と非常に良く似ています。
インダイレクト・テクニック(間接法)
機能障害を起こしている関節を、さらに動きやすい方向に動かすことによって、
脳神経に異常を伝えることで関節の歪みをとる手法です。非常にソフトな施術方法です。
ポジショナル・リリース・セラピー(ストレイン&カウンターストレイン)
過度に緊張した筋肉を緩ませ、対となる筋肉とのバランスをとることによって痛みを和らげる技術です。
筋肉や関節などに存在する固有受容器という神経の端末に働きかけます。
筋膜リリース
内臓器官、血管、神経、筋肉を支えている筋膜を対象とした手法で
皮膚に接触して筋膜の緊張を緩ませる技術です。
これら以外にもオステオパシーにはたくさんの技術があります。
ですが、これらの技術を身体の一部の箇所に行うのではなく、
身体全体の状況を把握しながら、さまざまな技術を組み合わせて
痛みや障害の原因に働きかけていくのがオステオパシーの施術です。
施術にあたっては、受ける人の状態に合わせて
痛みが無いように十分配慮した上で行いますのでご安心ください。
オステオパシーの適応症
オステオパシーが対応できる適応症の範囲は多岐にわたります。その一例をご紹介します。
・歯や口の問題・・・頭痛、顎関節障害など
・頭の問題・・・頭痛、めまいなど
・上腹部・・・胸やけ、胃痛など
・小腸・大腸などの問題・・・便秘など
・骨盤内臓の問題・・・生理痛など
・脊柱の問題・・・腰痛、肩痛、肩こり、首の痛み、背中の痛みなど
もしかすると、あなたが抱えている身体の悩みをオステオパシーで
解消できるかもしれません。
お悩みのことがありましたら、是非お気軽にご相談ください。